車か徒歩か
- 吉岡 俊史
- 8月4日
- 読了時間: 3分
『車に乗って見る景色と歩いて見える景色は違う』と言われますね。私自身もそのことは経験から強く感じます。
例えば街の景色や雰囲気に触れたり、人々に会いたいと旅する時は、公共交通機関と徒歩が良いのは誰でも考えることです。
自分で車を運転すること、誰かが運転する車に乗って移動するとき、徒歩でめぐる方法、それぞれに違う良さがあります。
人間は一瞬で見えるものの記憶や印象は薄れがちになり、長く見るときは印象も濃く残りやすいということが言われます。確かにそうだと思います。
今は街歩きをする方も減っているのかもしれませんし、ゆっくりと散歩という時間も持ちにくい毎日ではあります。
また、「移動」に限らず、「情報」なども急ごうと思えばすぐに入手できる時代です。
そんな中で、癒しを求めるためにあえて文明に沿わない手段を選択する方がいらっしゃるのも納得です。
時間と観察の関係で言うと、就労支援も同じです。
ユースターで行う、就職に向けた準備の支援では、全ての方が、いつかは、ユースターを終えて次のステップである「働くこと、社会での生活」に移ります。
着目したいのは、皆さんが「その次のステップが来る日」に向かって進むスピードです。
このスピードについては、個人差が大きく、人によって数か月~数年の間で違いがあります。
例えば、既に数社働いた経験をお持ちで、年齢も重ねていらっしゃり、どこでも良いからとにかく再就職をしたい、仕事を始めたいという方・・・初めて社会に出るので、ゆっくり、慎重に、できれば試しながら、行きつ戻りつ歩みたい、という方・・・
私たちの就労移行支援事業所ユースターは、どちらの方も支援をさせていただきます。そしてその方の「スピード感」に合わせて支援も一緒に進めます
その際大切にしていることは、スピードを速く進める場合もゆっくり進める場合も、どちらが正解ということは全くなく、優劣ももちろんない、ということです。
大切にすべきことは「その方と歩調を合わせてゆく」ということです。
車と徒歩の例のように、スピードの違いによって、得る経験も違ってきますので、本人が歩いてゆく横で、支援スタッフが車に乗っていては、本人のための支援にはならないのです。
逆に本人がまわりの景色(就労準備の場合は一つ一つの準備工程)を素早く通りぬけるだけで良いので、とにかく早く目的地に着く、という希望のある方の横で、支援スタッフが徒歩でついてゆこうとしても満足にはつながらないのです。
じっくりなのか迅速になのか、得るものの種類は違うとはいえ、同じものに乗ったり、同じ方法で移動することを心掛けたいと思っています。

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