無理な成功
- 吉岡 俊史

- 7月28日
- 読了時間: 3分
人生において、ずっと成功し続けることは不可能だと私は思います。
成功しかしていない人がいたら、その人は超人なのだと思います。
人間に限らず、歴史を振り返っても、どの国や帝国も永遠に繁栄し続けた例はありません。繁栄の後には、必ずどこかで衰退が訪れているのです。
一般的に、人は繁栄を経験すると、そこから退廃へと向かいやすいとも言われます。そして、それが自分自身だけでなく、自分のまわりの環境や人間関係にも影響し、全体的な衰えへとつながることも少なくありません。
このように、繁栄と衰退の繰り返しであった歴史のように、成功と失敗を繰り返すのが人間だ、と受けとめられれば、たとえ今は失敗に感じる出来事があっても、「次の成功がやってくる」と信じて前を向けるのではないでしょうか。
私は、就労支援を行っている就労移行支援事業所ユースターで就職活動を頑張る方に対して、就職活動の中で経験する「不採用」は決して「失敗」ではない、ということを繰り返し伝えてきました。
ありきたりな言い方ですが、失敗経験から、とても重要なことを得ることができるからです。
しかし、今まさに失敗して落ち込んでいる方にそのことを伝えることは、かえって辛さを増すだけかもしれません。
だからといって、成功した方に成功の直後に言うのも、説教のように受け取られてしまったり、お祝いの気持ちに水を差すことになりかねません。
ではいつ伝えるのが好ましいのでしょうか?
私自身、まだ答えを出せるほどの経験はありませんが、あくまで一個人としての意見として・・就労支援をしている中で、支援対象の方が不採用であったり、中々応募する企業が決まらないときに「今は失敗をしているわけではありません」と慎重にお伝えすることもありではないか、と考えています。
その言葉が、場合によっては「わざとらしい慰め」と受け取られてしまうこともありますが、それでも私は、あえて「今あなたはー」と声をかけたいと思います。
なぜなら、”慰めが欲しくはなくて、今の自分がどういう状態なのか・・どうなっているのか”を一緒に確認したり、「私から見たあなたは」を伝えることで、自分を知っていただきたい、と思っているからです。
さて、本日のテーマ「無理な成功」についてですが、私がここでお伝えしたかったのは、「自分では納得していないのに、周囲から“成功した人”として扱われることの苦しさ」についてです。そして、そのような状態で祝福の言葉を受けることで、かえって心が疲れてしまうこともあることを書かせていただこうと思ったのです。
冒頭でも述べたように、歴史からも、人生は常に山あり谷ありです。だからこそ、成功や失敗の両方とも動揺しないで冷静に受けとめられると良いと思っています。
言い換えるなら、成功も失敗もなく、進化し続けることの方が難しいのです。
必ず何らかの山や谷を経ながら生活しているのが、私たち人間なのだと思います。
だからこそ、「今、自分は山の途中にいるのか、それとも谷にいるのか」を認識できるようになると、自分で自分をもっと信頼できるようになるのではないでしょうか。





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