動いている社会
- 吉岡 俊史
- 17 時間前
- 読了時間: 3分
「社会で働くために必要なことは何か?」
これは、私たち就労移行支援事業所ユースターが、日々の支援の中で常に向き合っているテーマです。
就労移行支援事業所ユースターでは、特に働き続けられるようサポートするには、支援者には何が求められているのか?
その答えを探しながら、利用者さんと一緒に歩んでいます。
なんと言っても、働く場所が「社会」である以上、その「社会」を良く知ることができなければ支援も成り立ちません。
しかし最近、その視点だけでは不十分だと痛感する場面が増えてきました。
それは、働く場所としての「社会」は”常に動いている”からです。
動いている社会とは・・・景気や情勢の変化だけではなく、働く人の価値観、企業を取り巻く環境、その状態によって、働く人や働く環境も常に変わっています。
先日、ある会社の経営者とお話しをする機会がありました。
その方は以前、障がいのある方には会社に入っていただき、会社の戦力として活躍して欲しい、というポリシーをお持ちでした。
ところが今は違います・・・今は「人手は確かに足りなく、人材は欲しているが、人手が足りないーーそんなレベルをはるかに超えて、人材不足により業績悪化で、今は会社の存続も危ぶまれている。それくらい人手が不足しているのだということです。
ーそのため、「障がい者雇用も一旦控える、という方針に変えたい」ということでした。
企業にとっては人材は一番大きなコストの一つです。
その「人」というリソースに対して割く時間やコストは大変大きなものになります。
企業の業績が良い間は、ある程度「人」にかけるコストにも寛容ですし、余裕もありますので柔軟に取り組めます。
しかし、余裕がなくなってくると、「少しでも」人にかかるコストを抑えざるをえなくなります。
その「少しでも」の考え方が経営者の考え方によって大きく異なります。
・少しでも抑えるために、人を雇って収入を増やして経営改善する企業
・人を採らないことでコスト削減を優先する企業
同じ「人手不足」という状況でも、選択は真逆になることがあります。
これほど複雑で変化の激しい社会です。その趨勢を知ろうとする努力はしなければ障がい者雇用のための支援はできません。
「社会は〇〇です」「企業はこう考えているはず」という固定的な答えはないのが「社会」だと思います。
そして、どのような小さなことでも、社会の状況に先入観や固まった観念を持たず「明日は状況が変わっているかもしれない」そう思いながら、先入観を手放して情報を取りに行く姿勢が、就労支援には欠かせないのだと、経営者と話して痛感しました。

