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タクト

執筆者の写真: 吉岡 俊史吉岡 俊史

タクトと聞いて「あ~拍子のことね」と思う方は多いかもしれません。

そうです、「タクト」はTakt(ここではk)と書くドイツ語で、拍子(ひょうし)とか、指揮棒という音楽関係の用語であることはご存じの方も多いと思います。

タクトをふる、と言ったりします。その言葉の心地よい響きから、お店や商品の名前につけられていることも多いようです。。。


しかしタクトが英語では「機転」という意味であることをご存じの方は少なめかもしれませんねtact(ここではc)ドイツ語のTaktよりも見かけることは少ないかもしれません。。。


例えば日本語で「タクトをきかせて・・」と誰かに言われた場合、皆さんはどのようなことをしなければならない、と思うでしょうか?・・

英語のタクトしか知らない方が、それを言われたとしたら、当然「あ~機転をきかせろ、ということだな」と思うかもしれません。一方で広く知れ渡っているドイツ語の方のタクトを知っている方は、ちゃんとリズムを刻んで・・などと思うかもしれません。


今回はたまたま外国語を例にしましたが、日本語でも同じような「人によってイメージすることが違う単語」はかなり多く存在するのかもしれません。それが両方正しいのであればまだ許せるとして、勘違い、間違って覚えている、ということも往々にしてあるのです。

先日、ラジオで天気予報を聞いていると、予報士が「小春日和ですねー」と言っていました。私は「えっ冬になるのに春?」と思ったのですが、そこで「良く間違えますが、春のような暖かい気候で、秋から冬にかけて使う言葉です」と解説を加えていました。まさに、私はその”良く間違える人”の一人でした(苦笑)


機転といえば、機転をきかせた行動は社会人になった際にはとても大事ですが、その言葉だけでは何をすれば良いのかわかりません。

就労移行支援事業所ユースターは”就労アセスメント”といって、本人が現時点で持っている「働く力」を調べる依頼を多くいただきます。その報告書の中に、仕事で必要な「機転をきかせること」ができるかできないか、を見る項目があります。

一体、何を基準に機転がきいているかいないかを判断するかといいますと、ただ本人だけを見ていても答えは出てきません。

ーーそれを判断させていただく拠り所となるのは、周りの状況に対して本人はどうか・・・つまり「周りとの兼ね合いを理解し、それに上手についていっているか」という視点になります。それは本人だけではなく、周りは本人に状況をわかりやすく伝えられているか?という点も気になります・・そして、本人はその情報をキャッチできているか・・「正しく」キャッチできているか・・・キャッチしたことに反応できているか、等を見ます。そうでないと、極めてあいまいで主観的な評価に終わってしまい、そのような評価は不正確であるばかりでなく、評価される本人に失礼なものになってしまうのです。


周りの状況を正しくキャッチすること、それは働く上では大事なことですが、周りの人も同様に、本人にとって周囲の状況がわかりやすくなっているか(Taktをtactと捉えられないようにしてあるか・・)、周囲から本人に必要なことが発信されているか、どこで機転をきかせたら良いのかわかるようになっているか、などに気を配らないといけません。

就労をスムースに進めるためには、さまざまな要素が必要であり、全て本人が背負うものではないことを関係者皆さんが知っておきたいものです。


選手の動きを描いた作戦表
機転と拍子、ちょっとした勘違いの連続の中で私たちは生活しているのかもしれません


 
 
 

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