発達障がい、特に高機能発達障がいのお子さんがご家族にいらっしゃる家庭では、働くことに関して、就職と退職、転職を繰り返したり、一般企業の中で働くことに本人が苦労をされているだけではなく、ご家族も何となく不安を抱えていらっしゃるかもしれません。
具体的な悩みであれば解決に向かって歩めるかもしれませんが、家庭が抱える不安は何であるかがつかみにくかったり、何から手を付けてよいかわかりにくかったりすることもあります。そのような漠然とした多くのご相談をお受けしている中で感じた、いくつかのことを当ブログでお話しいたします。
まずは、漠然とした不安を見えやすくするため、ここでは、具体的なテーマに分け、数回のシリーズでお話したいと思います。
第一回目の今日は、働く事に難しさを感じる方のご家族やご両親が心配する事の一つであります、将来の”生計”があります。
ここでは高機能の発達障がいの方に特化してお話しています。
以下にある家庭からのご相談を例として挙げます。(一部をフィクションとさせていただいています)
まだ本人が学生であるうちは、ご両親や他のご家族の収入や預貯金で家計を全体的に維持していて、本人の生活費もその中に含めているのであまり気にはなりませんが、一生涯それが続くわけではないので、将来はどうなるのだろうか?・・・・といった不安を持っていらっしゃる家庭がありました。
本人の将来の”生活”、親亡きあとの”生活”とは言っても、あまりにも漠然としています。
”何とか生きてはゆけるだろう”・・・と根拠の無い結論をつけがちです。
例えば「生計をたてられるだろうか?」という点については、障がい者手帳を取得せず、かつ障がい診断もなく、自力でできることが多くあると、障がい基礎年金受給もままならないので、やはり収入が不安になるのです。
そうなると、収入の不安については・・・働いて収入を得なければならないと考え、やらなければならないこととして「働くこと」になってしまうのです。
そして「働くことは絶対必要」となり、優先事項になってしまいます。そして、「生計維持=他の人と同じように働く」と断定されてしまうようなのです。そのように考えると”働く”というハードルを収入・家計維持のため、と家族が高くしてしまうことになり、本人や家族の不安がよけいに上乗せされてしまいます。
本質的には、何のために働くか、ということが本人には大事で、本人の人生を愉しく有意義にしてゆくことを考えてあげたいのです。究極的には本人一人だけが生計をたてられる収入があると良いので、週40時間働くことは絶対条件ではないかもしれないのです。
週何時間働けば本人の生計が成り立つのか、を計算して本人と理解しあうことが必要になるのです。
また本人とお話する中で、正社員でないと生計がたてられない、と頭の中で思い込んでいる方もいらっしゃいます。私達にご相談いただいた際には、正社員か否かは給料の多少の前に、雇用形態の違いである点を具体的に説明し、自分にあった雇用形態の選択肢とメリットデメリットを一緒に考えるようにする。そして、将来的に仕事に慣れてきた時、あるいは仕事が好きになってきた時に、正社員登用のことも検討する、。というのが良いです。
そのために、正社員登用の可能性も相談できる会社に入る事も選択項目に入ります。個人差はありますが、会社選びの際には、その点も見るようにしていただいています。
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