支援はガイド
- 吉岡 俊史
- 4月30日
- 読了時間: 3分
「丸を2個書いて・・2つの丸のまん中にさんかくを入れて・・・」
何の説明だかわかりますか?
そうです、人か動物の顔のイラストを描こうと説明をしています。
しかし・・この説明で上手に顔の絵が描けると思いますか?
一見「丸を書いて、さんかくを入れてーー」と一つ一つのパーツを丁寧に順を追って説明しているようにも見えますし、説明も具体的ではあります。
でもーいまひとつ良い説明とは言えないような・・・・
説明を受ける人が何となく不安を持ちながら、言われることに必死についていっている様子が目に浮かんでしまうのは私だけでしょうか?・・・・・・
皆さんでしたら、顔を描いて欲しいとき、どのように説明をしますか?
最初に「顔を描きますね」の一言を入れるのではないでしょうか?
そうなのです。今やることが何になるのか、どのような展開になるのか、『最初にひとことつけ加える』と、同じガイダンスでも受け手の心理的な状態は全く違ってくるのでははいかと思うのです。
せっかく、一つ一つの手順を具体的に、丁寧に、順を追って説明していたとしても、説明を受ける人に余計な必死感を与えてしまっては作業の工程を楽しむことはできないと思います。
それどころか、先の「丸を描いて、次にさんかくを・」という説明方法では、説明を受ける人が、一つでも聞き逃すと失敗しそうな不安定な気持ちも持ってしまうかもしれません。
やはり『最終的にこうなる』という説明、ゴール、目的などを『最初』に加えることが、本人にとっての安心につながるということをガイドとしては知っておくべきです。
例えば旅行のツアーガイドさんが、何も言わずに旗を持って先に歩くと、旅行者は「いったいどこに行くのか?、どのくらい歩くのか、その先になにがあるのか?」まったくわからなず、旅行の楽しい気持ちが半減です。
ですからガイドさんは「あちらに見えるのが金閣寺です。これから近くまでご案内しますので、ついてきてください」というような説明と共に導いて下さるのだと思います。旅を楽しむ人への安心の提供です。
支援はガイドともいえると思います。
就労移行支援事業所ユースターは就労支援を提供していますが、就職までの道のりは、ユースターを利用されるほとんどの方には初めての経験です。
就職の一つ一つの手順を、いくら順番にゆっくり丁寧に説明しても、不安は変わらないのです。
その先がどうなるのか、いつ何が起こるのか、の一言が最初に必要なのだと思います。
就職活動は相手のあることですので、先がわからないことではあります。
しかし、たとえ先のことはわからなくとも、答えを持っていなくとも、支援スタッフとして、支援を利用される方には先を知ってもらえるように努力したいです。
特に就職活動は期間も不確定です。その間、本人の気持ちの維持、安心の担保、見通しがあることはとても大事なのだと思います。
支援はガイドと考え、安心につなげるだけではなく、余裕を持って臨んでいただくことで就職活動を良い経験にしてゆければと思います。

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