刺激から行動へ
- 吉岡 俊史
- 4月11日
- 読了時間: 4分
言葉を始めとした意思疎通が難しい障がいのある方へ、支援の方法を考えるときに、その方の行動から心の中や欲求をみつけようとすることがあります。
特に重度の障がいがある方への支援は、支援をする人もその方の素振りや行動から本人を読み取るしかない場合もあります。
人は何かの刺激を受けて、それを感じ、その結果として反応を返しますが、その方法は個人個人で違います。
行動からその方が受けた刺激への反応を想像して、それに対して支援を考えてゆくことは専門職といえども、とても難しいと思います。
支援を考えてゆく理論や方法は、日々論じられていて、進化もしています。
しかし、最も重要で核となる「本人の心の想いを正しく受け取れているか」ということについては、理論だけでは成り立たない場合もあるのです。
そもそも人はいつも何かを発信したいと思っているのか?常に誰でも叶えて欲しい欲求を持ち続けているのか?
自分の気持ちをわかって欲しい、と思ってはいても、時と場合によって、自分だけで想いを巡らしたい、人と関わりたくない、自分だけのお気に入りの行動を誰にも干渉されずに楽しみたい・・誰でもそのようなことを考えたことはあるのではないでしょうか?
また、仮にサポートする人に欲求が伝わったとしても、それが満たされれば済むということでもない場合があります。
就労支援の場合、会社という相手があるために、ジョブコーチや支援スタッフが職場で支援をする時は、さまざまな方面に気配りをすることになります。
まずは本人との支援関係、続いて会社に対して、期待される労働を提供できるように本人に動いてもらうこと、会社の不安や希望を伺って本人に合わせて調整したり協議します。会社の期待を本人に伝え具体的な業務に落とし込むなど・・・
そして働く本人と会社の相互関係を構築する調整をすることです。
就労支援を行う就労移行支援事業所ユースターのスタッフが職場で支援をする際は、働く本人はもちろんのこと、特に会社の欲求や動きを読み取ることに神経を使います。
つまり、会社が表面上は本人の働きに満足、このままで良い、という評価を下さっても、別の欲求を持っていることが実際にはあるのです。
会社も、ここまではやって欲しいが・・という本音を伝えたくても言って良いのか?と迷っていて、もやもやしている場合もあるのです。
当然のことながら、会社は社会的なミッションを背負い、利益や事業に責任を持ち、従業員の生産性に期待をしている組織であるからです。
このように、会社側の人の言動から、本当の心を読み取ることは大事であるが、難しいのです。
先日、ユースターの支援スタッフが、ある会社の方と会話をした際、その方は私達の送り出す利用者の方のことを毎日、とても丁寧に見て下さり、どのようにしたらフェアで良い就労になるのか、を想像以上に考えて下さっていたことがわかりました。
そのような方がいる会社に就職する際は、単に指示をこなせることが就労ではなく、会社の抱える希望や欲求、それが仕事の成果だけではないことも読み取って適切に応えてゆくことが大事であると考えさせられました。
何度かブログでも書かせていただきましたが、雇う会社にとっての障がい者雇用は、雇って終わりではなく、障がい者雇用であっても無くても、会社は従業員の人事、キャリア管理をしないといけないですし、そうしたいのです。
そのために、本人と会社の間に立って支援をするスタッフとして、会社と本人の関係を作った上で、総合的に就労が進むようにするべきなのです。
働く方の側に立つことはわかりやすいかもしれませんが、本当の就労関係を作るには、もっときめ細やかな対応をしなければならないと思いました。

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