人口オーナス
- 吉岡 俊史
- 4月14日
- 読了時間: 3分
人口オーナスのオーナスという言葉を聞かれた方もいらっしゃると思います。オーナスは”ボーナス”と響きは似ています。似ているだけではなく、類似しているもので、ボーナスの逆の意味です。
人口ボーナスは生産年齢人口(15-64歳の人口)が増えることで経済が成長する事を指します。
その逆で生産年齢人口が低下することで経済成長が下がることを「人口オーナス」というそうです。
日本は、ご存知の通り高齢化率が上がり続けていて1950年人口に占める65歳以上の割合が4.9%であったのが、2023年は29.1%に上昇しています。
経済が成長しているかを見る経済成長率は、「①資本」や「②生産性」に加えて、就労支援を行っている就労移行支援事業所ユースターにも関係する、働く力の「③労働投入」と呼ばれる3つの項目が関係します。「労働投入」とは硬い表現ですが、いわゆる働く人がどれだけいるか、ということになります。
生産年齢人口が減少することで、3項目の一つ「労働投入」が減り、日本の成長率も低下するというものです。
このような人口オーナスの中で、求められるのは、働く人を増やすということなのですが、障がい者雇用では、人口オーナスに対して労働力を求める企業が人材を奪い合う傾向はしばらく続くと思われますので、就労移行支援事業所ユースターを利用される方が探す就職先は、当面確保されているのではないかと思っています。
しかし、その反面で、安泰でもないと思われる点もあります。それは、経済成長率に影響をもたらす「労働投入」が不足しているから、その対策として企業が「②生産性」を上げてゆくさまざまな技術開発が進むからです。
特にデジタル化、ITインフラやAIの導入です。既に現在でもジャンルを問わずこれらが増えています。
つまり人手不足をAIやITが取って代わるという傾向は進んでいるので、企業はどうしてもそこに投資を向けることになるのです。
ではそれで障がいのある方の職が奪われることになるのか?といいますと、まだ影響は直接来てはいないようです。なぜなら、AIやITが取って代わる業務はまだ限られているのと、むしろデジタルをツールとした働き方になることで、働く場所や時間も柔軟になっているからです。
求人情報を見ていますと「勤務開始時間〇〇時、終業〇〇時」と決めている会社もある一方で、「〇〇時~〇〇時の間で△△時間勤務」という募集も多くなっているのです。
企業も人手を時間で区切って確保するために、短時間で働く人をつなげて労働投入する、という工夫を始めているのがわかります。
先日就労移行支援事業所ユースターから就職をした方、朝は苦手、通勤ラッシュも苦手という方が午後からの勤務をみつけることが出来ました。
障がい者雇用は、働き方の柔軟性が大きな意味を持ちます。
社会として問題となる人口オーナスですが、それが雇用者の柔軟性を引き出すことにもつながります。
働くチャンスが増えることは歓迎すべきですし、自分の持ち味を生かして働ける場所も見つけやすくなっていることは肯定的に受けとめたいです。

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