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執筆者の写真吉岡 俊史

モラトリアム①

就労移行支援事業所であるユースターの機能は、就職につながるための準備を個別に行っていること、そして就職に具体的につながるように種々手続きや準備を一緒に行うことです。そして就職後は、せっかくつながった会社との縁ですから、自分の力を発揮して長く働き続けられるようにサポートをする、というものです。

しかし、ユースターの特長としまして、就職して働く、ということだけに留まらずに、いわゆる社会人として社会で生活する全般に必要な力も就職準備の段階で並行して身に着けていただくことにこだわっています。

従来の福祉の機能を見ていると、どうしても機能ごと、役割ごとに施設が分断されています。具体例として、障がいのある方が受ける福祉は「生活」と「活動」に大まかに分かれていたり「余暇」と「就労」に分かれていたりです。人間の営みは2文字の漢字で表し、分類できるような単純なものではなく、もっと複雑なものです。また気まぐれなものでもあります。


就労についても社会生活や自分のためのモラトリアムも当然人間には必要ですし、そのモラトリアムの時期こそ、人として成長したり、充電する大変重要な時間と捉えています。


そもそもモラトリアムとは「一時停止」「猶予期間」などの意味で、人生は生まれてからずっと休みなく続くものですから、一休み、一旦停止は意図的に作らないと、自然にはやってこないものです。

社会で生活する上では、周りは「あなたの人生一旦休みましょう」とは誰もいってくれません。

特に、モラトリアムとは無縁で、生まれてからずっとレールの上を歩み続け、そのレールにしか自分の人生は無いと思って生活してきた方が、疲れや少しの迷いを感じた時は、特に自分自身への「充電」「停止」がとても大事になるのではないでしょうか。


ではどうやってその時間を作るか、というと、それは自分自身で意識して作るか、どこにも所属していない、何も人から依頼や指示、束縛をされない「時間」をモラトリアムと自分で位置づけ、しっかり「休む」ことかと思います。


ここで言う「休む」とは固定概念としての休みではなく、自分にとって休めた、と思える時間を持つことだと思います。

器用な方は、ひょっとして働きながら、あるいは忙しい生活をおくりながらモラトリアムを過ごせる方もいらっしゃるかもしれません。充電期間、休み、と自分自身が思える期間が重要になると思います。


海辺で何もしないでいる人の写真
自分が休めていると思える時間の確保は難しいですが、必要ですね



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