人はマニュアルに沿って、「何も考えないで動く」「誰かが決めてくれたようにする」ということは、実はとても安心しますし、正直「楽」です。
誰もがマニュアルにある通りに行動したい・・・何も考えないで・・責任もなく、言われたとおりに動きたい・・・と思う時は一度はあるのではないでしょうか。特に、今のコロナ禍のように、個人個人の行動に大きな責任がかかるときや、身の回りに想定していなかったことがいろいろ起こる時は、そう思うときが多いのではないでしょうか。
マニュアルは一律の手順や行動による、質の維持、統制、ミスの低減などもちろんメリットはたくさんありますし、大勢で社会の中で働いたり生活する上では欠かせないものです。
もう一つ、手順書というものもあります。マニュアルが、業務全体の意味や目的なども含んだものであるのに対して「手順書」は「マニュアル」をさらに細分化した、一つの作業を取り上げ、作業する順番を示したものです。理論上マニュアルがないと手順書も作れないことになります。
つまり、手順書に比べて、マニュアルは、自分で判断もしなければならない大変な場面が増える一方で、裁量や工夫、話し合いなども要素として出てきて、仕事の醍醐味も増すのです。
就労移行支援事業所ユースターでは、就労支援に手順書を使うことが多くあります。ユースターの手順書には、作業を進める順番だけではなく、読み手に合わせて書くことで、参加意欲、達成感といった作業への心理的な距離を縮める目的も含めています。
手順書があることで正確に作業が完了できることは素敵なことですし、手順書を利用することで、例えば障がいがありながら働く方が、ご自分の持つ以上の力を発揮して働き、チャレンジして成功したという自信にもなります。
しかし、手順書だけで就労支援を行うと、冒頭に書きました「楽に」「誰から決めてくれた」「考えずに」「判断せずに」・・が仕事である、という誤ったイメージになってしまうこともあるのです。
大事なことは、手順書の背景に、仕事の醍醐味や目的が明記されている「マニュアル」の存在を意識すべきで、手順書は仕事の醍醐味を感じれる、安心できる道具にしていかなければならないということです。手順書は生き物として、同じ人に一字一句同じものが永遠に使われることのないよう、使う方の次のストーリー、次のステップ、次のチャレンジを入れて「次の」手順書を作ることが大切だと思います。
『手順書=作業への意欲→全体活動への意欲→社会への参加意欲』につながれば・・と思います。
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